「下流工程」はつまらない? それは大きな勘違い。エンジニアとしての最強の土台を築く方法
公開日: 2025年9月22日
エンジニアとして就職して最初の3ヶ月。僕の仕事は「コードを書くこと」ではありませんでした。 来る日も来る日も、先輩が書いた機能が正しく動くか確認し、Excelのテスト仕様書に「OK」と入力し続けること。いわゆる「テスター」業務でした。
「俺はクリエイティブな仕事がしたくてエンジニアになったのに...」 「こんな誰でもできる作業、やる意味あるのか?」
毎日単純作業を繰り返しながら、正直腐っていました。 でも、今なら断言できます。あの退屈で地味な「下流工程」の期間こそが、僕のエンジニア人生の最強の土台を作ってくれたのだと。
今日は、下流工程に不満を持っている新人エンジニアのあなたへ、この期間を「ただの作業」から「価値のある下積み業務」に変えるための、3つの思考法をお伝えします。
なぜ、最初から上流工程をやらせてもらえないのか?
考えてみてください。車のネジ一本を正しく締められない人間に、車のエンジンの設計図を書かせたいと思うでしょうか?
僕がテスターをしていた頃、先輩のコードを見て「なんでここでこんな処理をしてるんだろう?」と疑問に思うことがありました。 でも後になって、それが「システム全体の負荷を減らすための工夫」だったり、「将来のバグを防ぐための布石」だったりすることを知り、愕然としました。
現場のコードの「手触り」を知らない人間が書く設計図は、ただの絵に描いた餅です。 下流工程とは、「良い設計と悪い設計の違い」を、身をもって体感できる唯一の場所なのです。
下流工程で圧倒的に成長するための3つの思考法
では、どうすればこの期間を最大限に活かせるのか? 僕が意識を変えてから実践した3つのことがこれです。
1. 「なぜ?」を問う探偵になる
仕様書に「ボタンは青色にする」と書いてあったら、ただ青くして終わりではありません。 「なぜ赤じゃなくて青なんだろう?」「重要な決定ボタンだから、ユーザーを落ち着かせるためかな?」
僕は、疑問に思ったことは勇気を出して先輩に聞くようにしました。「なるほど、鋭いね」と言われた時の嬉しさは忘れられません。 この「意図を探る癖」が、後に自分が設計する側に回った時にめちゃくちゃ活きました。
2. コードレビューで「ボコボコ」にされる
いざコーディングを任された時、僕のコードは先輩からの指摘(プルリクのコメント)で真っ赤に染まりました。 最初は「うわ、めっちゃダメ出しされた...」と凹みましたが、ここが分かれ道です。
指摘を「人格否定」と捉えず、「無料の個別レッスン」だと捉え直しました。 「なぜこの書き方だとダメなんですか?」としつこく聞き、その理由(セキュリティ、可読性、保守性)をノートにメモしました。このノートは今でも僕の宝物です。
3. 「最悪の事態」を想像する悲観論者になる
テスターの経験が活きたのがここです。 「普通に使えば動くけど、もしユーザーがここで連打したらどうなる?」 「もし通信が途中で切れたら?」
下流工程でバグを見つけまくった経験があるからこそ、コードを書く時に「ここ、バグりそうだな」という予感が働くようになります。 これを「防御的プログラミング」と言いますが、これができると信頼されるエンジニアになれます。 現在、自分が立ち上げたサイトにも役立っています。
まとめ:今の仕事は、未来の自分へのプレゼント
下流工程は、確かに地味です。誰にも褒められないかもしれません。 でも、そこであなたが悩み、調べ、修正した一行一行が、確実にあなたの血肉になっています。
数年後、あなたが上流工程に立った時、「あの時の泥臭い経験があったから、現実的で良い設計ができるんだ」と思える日が必ず来ます。 だから、腐らずに、目の前のコードを愛してあげてください。
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