【HTML/CSS入門】なぜデザインが崩れる?美しいWebサイトを作るための3つの鉄則
公開日: 2025年10月8日
HTMLとCSSの学習を始め、color や font-size などの基本的なプロパティは覚えた。それなのに、いざ自分でWebサイトを作ろうとすると、なぜかレイアウトが崩れたり、全体的に素人っぽい印象になったりしてしまう。そんな経験はありませんか?
もしあなたがWebデザインを「個々の要素に色や形を付けていく作業」だと思っているなら、そのアプローチそのものを見直す時期かもしれません。
優れたWebデザインの裏側には、必ず論理的な構造設計が存在します。それは、建物を建てる際に、まず頑丈な「骨格」を組み、そこに規格化された「部品」を取り付け、最後に全体の「配置」を決めるプロセスによく似ています。 今日は、あなたのデザインを劇的に改善する、3つの基本的な鉄則を解説します。
鉄則1:HTMLは「骨格」であると心得る (セマンティックHTML)
初心者が最も陥りやすい過ちが、レイアウトのためだけに <div> タグを多用してしまうことです。 <div class="header">, <div class="nav">, <div class="main-content">... これでも動きますが、そのHTMLは単なる「箱の集まり」でしかなく、構造的な意味を持ちません。
HTMLは、Webページの「意味」を定義する言語です。どこがヘッダーで、どこがナビゲーションで、どこが主要なコンテンツなのかを、タグ自体で表現するべきです。
<!-- 良くない例:すべてがdiv -->
<div class="header">...</div>
<div class="nav">...</div>
<div class="main">
<div class="article">...</div>
</div>
<div class="footer">...</div>
<!-- 良い例:タグが意味を持っている -->
<header>...</header>
<nav>...</nav>
<main>
<article>...</article>
</main>
<footer>...</footer>
<header>, <nav>, <main>, <footer> などの セマンティックHTML を使うことで、HTMLファイルはページの設計図として、非常に見通しが良くなります。 これは、検索エンジン(SEO)やスクリーンリーダー(アクセシビリティ)にとっても重要なだけでなく、後からCSSを書く際の「迷いのなさ」に直結します。 まず、骨格を正しく組むこと。 これがデザインの第一歩です。
鉄則2:CSSは「再利用可能な部品」として作る (クラス設計)
次にありがちなのが、場当たり的にスタイルを当ててしまうことです。 「このボタンを赤くしたいから id="red-button"」「あっちのボタンは青くしたいから id="blue-button"」というように、IDを多用してスタイルを書いていくと、CSSファイルはあっという間に肥大化し、管理不能になります。
プロのCSS設計は、「部品」を作るように考えます。 例えば、「ボタン」という部品の基本的な形を .btn というクラスで定義し、色などのバリエーションを別のクラスで追加するのです。
/* CSS */
/* 基本的なボタンスタイル(部品の原型)*/
.btn {
display: inline-block;
padding: 10px 20px;
border-radius: 5px;
text-decoration: none;
font-weight: bold;
}
/* 色のバリエーション */
.btn-primary {
background-color: #007bff;
color: white;
}
.btn-secondary {
background-color: #6c757d;
color: white;
}
/* HTML */
<a href="#" class="btn btn-primary">決定</a>
<a href="#" class="btn btn-secondary">キャンセル</a>
このようにクラスを設計すれば、「ボタンの角を丸くしたい」と思ったら .btn を一行修正するだけで、サイト内のすべてのボタンに適用できます。 一つ一つの要素を飾るのではなく、サイト全体で使える「部品」を設計する という意識を持つことが、美しく、かつメンテナンス性の高いデザインの鍵です。
鉄則3:「空間」を支配する (Box ModelとFlexbox)
最後に、デザインの印象を大きく左右するのが「余白」と「配置」です。 これを自在に操るために、絶対に理解すべき2つの概念があります。それが「ボックスモデル」と「Flexbox」です。
- ボックスモデル: 全てのHTML要素は、content(中身)、padding(内側の余白)、border(境界線)、margin(外側の余白)から成る「箱」であるという考え方です。要素間の距離が思った通りにならない時、原因はほぼ間違いなくこの4つのどれかです。
- Flexbox: 要素を横一列に並べたり、中央揃えにしたりといった「配置」を、驚くほど簡単にしてくれるレイアウトモデルです。
例えば、ナビゲーションメニューをきれいに横並びにするのは、昔は一苦労でした。しかしFlexboxを使えば、たった数行のCSSで実現できます。
/* HTML */
<nav class="global-nav">
<a href="#">ホーム</a>
<a href="#">製品情報</a>
<a href="#">会社概要</a>
<a href="#">お問い合わせ</a>
</nav>
/* CSS */
.global-nav {
display: flex; /* これだけで子が横並びになる */
justify-content: space-around; /* 子を均等間隔で配置 */
background-color: #333;
padding: 1em;
}
すべての要素を「箱」として捉え、Flexboxでその「箱」の並べ方を定義する。 この2つの概念をマスターするだけで、あなたのレイアウト能力は飛躍的に向上します。
まとめ
美しいデザインは、魔法ではありません。論理的な設計の積み重ねです。
- 鉄則1: HTMLで、ページの論理的な「骨格」を正しく組む。
- 鉄則2: CSSで、再利用可能な「部品」を設計する。
- 鉄則3: ボックスモデルとFlexboxで、「空間(配置と余白)」を支配する。
たくさんのCSSプロパティを覚える前に、まずはこの3つの鉄則を意識してコードを書く習慣をつけてみてください。 あなたの書くコードは、もっと美しく、もっと意のままになるはずです。
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→ 【保存版】Webサイトを公開した後に「絶対に」やるべき10のSEOチェックリスト
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